NFTを買っただけでも税金がかかることがあります。ということで、NFTをマーケットで買ったときの税金について、基本的な考え方や計算方法についてまとめました。
基礎体力がなければ実践に耐えられない
まずは事例の確認から始めましょう
この記事では、NFT(いわゆるPFP用のNFTアートをイメージ)を、OpenSeaなどのマーケットで買ったときの税金についてお話をしていきます。
なお、買ったとき以外にも、売ったとき・もらったときの税金など、NFTに関する税金の「全体像」や「全体的な注意点」などは、別記事にまとめました。こちらをぜひ、ご一読されてから本記事を読み進めていただくことをおすすめします。
そのうえで今回は、NFTを買ったときの税金について「基本的な考え方」を押さえていきます。複雑なケース(複数回に分けて円でETHを買っている、など)の具体的な税金計算については、いずれ「実践編」でお話をする予定です。
最終的には実践が重要になりますが、「基礎体力」がなければ実践に耐えることもできません。というわけで、まずは「基礎編」として、簡単な事例の確認から始めましょう。
ウソみたいだろ?買っただけで税金がかかるんだぜ
こちらが今回の事例になります。
取引の日 | 取引時のレート | 取引の内容 | 持っているモノ |
---|---|---|---|
X年6月10日 | 1ETH = 15万円 | 15万円で1ETHを買った | 15万円分のETH |
X年8月25日 | 1ETH = 20万円 | 1ETHでNFTを買った | 20万円分のNFT |
つまり、6月10日に「15万円で1ETHを買った」のち、8月25日に「1ETHでNFTを買った」という事例です。これを見て、「NFTを買っただけなら税金がかかるはずがない」と考える人がいます。残念ながら、それは間違いです。
でも、そう考えたくもなりますよね。だって、1ETHを暗号通貨で持っているか、1ETHをNFTで持っているかの違いしかないのですから、「ETH(イーサ)」をモノサシにするのであれば、なにかを得したわけではありません。
ところが、です。モノサシを「ETH」から「円」に持ち替えた場合はどうでしょう?
ETHばかりを見てるとケガするぜ
上の表の右端の列にある「持っているモノ」に注目です。6月10日の時点では「15万円分のETH」だったモノが、8月25の時点では「20万円分のNFT」に変わりました。
このとき、税法(税金のルール)では、「暗号通貨(ETH)を売却」したとみなし、「暗号通貨の売却による利益が確定した」と考えます。え〜、そんなぁ…!と驚かれるかもしれませんが、それが今の税法です。
というわけで、「円」をモノサシにすると「5万円分」の得をしていることに気がつきます。
いま話をしている税金(=所得税)は日本の税金であり、円に関する税金です。ゆえに、円で考える必要があります。所得税とは、平たく言えば「得に対してかかる税金」ですから、得した5万円が税金の対象になるのです。
これを聞いて、あなたはきっとこう思うでしょう。
でも、円は持っていない…
買っただけで税金がかかるだけでも驚きなのに、もっと驚くべきは「税金がかかるのに、税金を払うための円は持っていない」ことです。
先ほどの事例でいうと、「5万円分の得をした」とはいえ、「5万円分の円は持っていない」ということになります。それはそうですよね、「20万円分のNFT」を持っているだけなのですから。
ここまでの話をまとめます。まずは、NFTを買っただけでも税金の対象になること。そして、税金を払うだけの「円」を別途用意しておく必要があること。
では、いったいどれだけの税金がかかるのか?その計算方法を、このあと確認をしていきましょう。